★派遣社員に交通費を支給しない、は正しい

 人材派遣会社リクルートスタッフィングの元派遣社員が「正社員には支給されている交通費(通勤費)を支払われないのはおかしい」と派遣元を提訴したというニュースが。

 

 派遣社員という弱者を救済するような判決が出ると、どのような影響が出るでしょうか?良くない影響は、経営者だけでなく派遣社員たちにも発生します。

 

 「正社員に出すのであれば派遣社員にも出してあげるべきだ」と経営に疎い方は言われるかもしれません。

 

 かつて某会社の採用をお手伝いしたことがあります。その時はパート事務社員の採用でした。そして、正社員と同じように「交通費全額支給」をうたい募集を打ちました。

 

 履歴書が沢山来ました。候補を絞ります。そして申し訳ないのですが、遠方の方やバス通勤の人(定期代が高い)は外します。能力や適性がありそうでも不採用です。経営者とはそんなものです。(その候補者が明らかにハイパフォーマンスを発揮すると確証があればこの限りではありませんが・・・)

 

 また、先日も契約社員をしているという女性に「正社員には支給されている通勤費が出ないのは悲しい」という趣旨の相談をされました。その女性は勤務先からまあまあ離れたところに住んでおります。私は上記の話をし「もし、交通費支給というルールがあったなら、採用されていないかもしれませんよ」と説明しました。彼女は取り敢えず納得しておりました。

 

 ただ、「原則として支給しない」という規定にしておいて、実際には例外的に支払っている場合が少なからずあったりします。これは、当該社員に実績があり会社側に望まれているのですが、本人が「やっぱり、交通費が負担になるので家の近くで働きます」とか言い出した場合です。「君だけには(みんなに内緒で)交通費を出すから続けてほしい」。(⇒明らかにハイパフォーマンスを発揮するとの確証があるからです。)

 

 派遣社員などなくして、すべてを正社員にする、が理想ではあります。しかし、経営者の立場からすると、調整弁的な雇用形態も活用したいのです。

 

 雇用人を守りすぎる法律や判例が増えると、ますますアジア諸国などとの競争が厳しくなりますが、もしかしたら今の日本は経営者に新しい試練を与える時期なのかもしれません。(でも、安倍首相は経営者の味方ですね。)