★成人式「はれのひ」事件、この事件の本質は「前払い」にアリ

 着付け会社「はれのひ」事件。この事件が何故起こったのかを「着物業界の衰退」と結びつけてコメントしている人が何人かいました。

 「業界の衰退」が原因に全く関係ないとまでは言いませんが、本質が見抜けていないと言わせていただきます。

 

 今の日本は長期的に人口減が続いています。着物業界に限らず、例えば、消費者の購買意欲やパターンが変わらないと仮定して、人口が減ればやはり、人口減と同じ割合で売上が減ることとなります。

 そこに時代のトレンドや消費者の嗜好の変化が加わります。着物、固定電話、新聞・・・むかし、ほとんどの人が消費していた物やサービスが、一部の人だけが消費したり、頻度が低下したりしていくわけです。

 衰退産業だから突発的に破裂した、と考えるのはどうかと・・・

 

 この倒産の本質は「前払い」にあります。数年前に英会話教室の倒産が続いたのと同じ現象なのです。

 

 お客様から前もっていただいた代金はその時点では売り上げではなく、前受金です。経営者感覚の劣る人はその前払いされたお金をあたかも売り上げのように錯覚するのです。

 それでも、毎期、前期以上の売り上げが確保できれば、とりあえず問題なく運営できます。ところが、一旦、前期より売り上げが落ちてしまうと、たちまち資金繰りが厳しくなります。

 

 「はれのひ」の経営者は、そのことにプラスして、道徳心の欠如した人だったのでしょう。経営理念をそのまま社名にしたようなネーミングセンスは評価しますが、とんでもない食わせ者でした。

 

 一方、被害者を救済する動きが何か所からもありました。世の中、捨てたものでないと感じました。

 

 人間、苦しくなった時に地金が出ます。人を見る目を養いたいものです。

 そして、皆さん、前払い金の必要な物やサービスの場合、特にその業者に注意なさってください。